奥黒部赤木沢遡行

所属する会の指導員研修で、北アルプスの黒部川源流赤木沢遡行山行に参加する。
参加者はリーダーを含め11人である。

9月3日(金)
朝7時前に集合し2台の車に分乗して、東海北陸道から北陸道を走り、立山ICを下りて立山方面への道を走る。
折立登山口までは、有峰林道小見線が通行止めのため小口川線を迂回し、11時半ごろ駐車場に到着する。
平日だというのにかなりの車が止まっている。
昼食を食べ準備をする。
リーダーより研修山行に対する諸注意を受け、それぞれに研修目的を胸に秘めて出発する。
最初からかなりの急登が続くが、太郎平小屋までコースタイム5時間のところを3時間半で行くため、かなり早いペースで歩く。
1870mの三角点に着くと急登は終わり、先方には太郎平方面が開けてくる。

三角点を過ぎると道がなだらかになるが、ゴロゴロ石が敷き詰められた歩きにくい道である。
小雨が降り出しカッパを着る。
太郎平からの急な道を下り、薬師沢を渡る頃雨が止み、そこでカッパを脱ぐ。
薬師沢に沿って夏にはお花畑が広がるカベッケヶ原を通り小屋への道を急ぐ。
予定通り午後5時半前に薬師沢と黒部川の合流点に立つ薬師沢小屋に到着する。
小屋前の黒部川には赤い吊り橋がかかっている。
宿泊者は20人程度で、我々は男女で一部屋ずつ部屋を占有できる。
午後7時頃からミーティングを行い、リーダーから今日の反省と明日の行動予定の説明がある。
明日は赤木沢を遡行し、5時間ほどで稜線へ出る予定である。
午後8時過ぎには明日の行動に備えて床に就く。
9月4日(土)
午前5時前に起床し、外に出てみると雲もない絶好の山行日和である。

橋手前の梯子を下りいよいよ黒部川へ。
水量は深いところでも膝までくらいで、水は思ったより冷たくない。
2,3度左右に渡り返しながら黒部川源流を遡る。
赤木沢出合手前の4mほどの岩魚止めの滝の淵は高巻きする。
出合の大瀞をヘツって赤木沢に入る。
赤木沢の第一印象は、明るく開けた気持ちのよさそうな谷である。
夏ならば思わず飛び込んでみたくなるような水の透明度である。
赤い岩の20mほどのナメ滝に出る。
しばらくで左手からウマ沢が入り込んでいる。
四段の滝が現れ、右手の草付き斜面を高巻く。

やや狭くなったミニゴルジュ状のところを通過し、広くなった河原を過ぎると、前方に30mほどの岸壁が現れる。
赤木沢最大の大滝で、垂直の岸壁からしぶきを上げて水が落下している。
ここで大休憩をとる。
我々も大滝右の岸壁を高巻くためザイルを出し、安全を確保して慎重に登る。
大滝の上に出ると前方に水晶岳が見えてくる。
沢の入り口を間違えると、上に行ってハイマツの藪漕ぎが待っているので、ここからリーダーが先頭に立ち、慎重に見極める。
更に流れを遡ると稜線が見えだす。


だんだんと水流が細くなり、源流が近づいていることがわかる。

細くなったガラガラの沢を詰めると赤木岳南の草付き斜面に出る。
ハイマツ漕ぎの苦労もなく、夏ならばお花畑が広がる気持ちのいい斜面である。
すぐ上には赤木岳、眼下には今遡ってきた赤木沢が小さい。
周囲の山々の展望は、赤木平を隔てて大きく雄大な山容の薬師岳、東には赤牛岳から水晶岳、鷲羽岳にかけての山並みが広がっている。
気持ちのいい草原で沢靴を脱ぎ、着替えをする。



北ノ俣岳山頂からは、黒部五郎岳や遠く北には立山、剱岳、南東には槍ヶ岳~穂高連峰も見える。


神岡新道を左に分け、木道の敷かれた登山道を緩やかに下り太郎平小屋へ。
午後2時前には太郎平小屋に着き、小屋で買ったジュースが乾いた喉にうまい。
しばらく休んだ後下山にかかり、太郎平から右手に薬師岳を見ながら休まず三角点まで一気に下る。

眼前に逆光に輝く有峰湖を見下ろしながら、午後4時半、無事折立ヒュッテ前の登山口に下山する。

今回の研修では、沢遡行の歩き方やルートの取り方など学ぶところが大変多かった。
特に分岐に出た場合、地形図と照らし合わせながらどこの沢に入ればいいのかを判断するのは、経験が必要であると感じた。
沢を詰めれば山頂近くではブッシュが待っているので、それをいかに避け、楽な所を通るかによって困難度が違ってくる。
また、今回のようにかなり強行軍の山行の場合、いかにして必要最小限の荷物だけにするか、大いに勉強になった山行であった。
天候に恵まれ無事に研修を終わることができ、リーダー、顧問、同行した仲間の方々に感謝申し上げたい。
山遊人
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