2022年7月5日(火)~8日(金)今年の夏山山行で、東北地方山形県にある「鳥海山」と「月山」に、3泊4の日程で山行する。
7月5日(火)台風4号が九州北部に接近し、日本列島を横断する進路予報が出ている。
朝、家を出る頃には雨が降っており、現地の天気を心配しながら出かける。
3名の参加者で、9:15、名古屋空港発の飛行機で山形へ飛ぶ。
10:20、山形空港に着くと、現地はまあまあの晴天で暑い。
今日は夕方までに宿へ着けばいいので、レンタカーで30分ばかり走り、天童市にある俳聖松尾芭蕉の『奥の細道』で有名な「山寺」に立ち寄る。
奥の細道の中の句として有名な「閑さや岩にしみ入る蝉の声」を詠んだ寺である。
芭蕉は弟子の曾良を伴い、元禄2年春、約150日間の東北の歌枕を巡る旅に出発する。
奥州平泉から中央山地を越え、天台宗の名刹「立石寺(通称山寺)」に立ち寄った。
立谷川にかかる赤い擬宝珠の橋を渡り、右に折れてみやげ物屋の並ぶ道をいくと、左手に山寺入口の階段が見えてくる。

階段を登りきると正面に根本中堂がある。

左に折れてすぐに、旅姿の芭蕉と曾良の像が建っている。

拝観料300円を払って山門をくぐり、いよいよ約1000段の石段が奥の院まで続いている。

少し行くと、左手に「蝉塚」が立っている。

途中には凝灰岩の壁がそそり立ち、そこかしこに仏様などが彫られている。

さらに上がって仁王門をくぐる。

30分近く登ってやっと奥の院に着く。
お詣りをした後、少し下った右手の道を開山堂と五大堂の方へ行く。
開山堂は、立石寺を開いた慈覚大師円仁を祀るお堂である。

さらに開山堂から少し上がると五大堂がある。
断崖上に突き出すようなお堂の舞台からは山寺を一望できる。

眼下には山寺随一の絶景が広がっている。

五大堂から下山路を下る途中ではアジサイの花が美しい。

途中の石には六地蔵が掘られている。

お昼過ぎに山寺を下り、近くの蕎麦屋さんに立ち寄り、蕎麦と東北名物の「ずんだもち」を頂く。
昼食後、橋を渡り駐車場へ戻る。

山寺を後にして車を走らせ、鶴岡市内のかつての鶴ヶ岡城があった鶴岡公園にある「藤沢周平記念館」に立ち寄る。

(藤沢周平記念館HPより)
館内では鶴岡市出身の作家「藤沢周平」に関する資料を収集しており、藤沢周平の作品世界やその生涯に関する常設展示などがされている。
彼が使った書斎も復元されている。

(藤沢周平記念館HPより)
藤沢周平は、時代小説作家として武家もの、市井ものから、歴史小説、伝記小説まで幅広く活躍した作家である。
武家社会の底辺に生きる人々を多く描いた作家で、好きな作家の一人であり、ほとんどの作品は読んでいる。
記念館へは以前から一度来てみたいと思っていた。
館内を見学した後、鶴岡市を抜け、北前船の立ち寄る港として発展した酒田市から北へ日本海沿いに走る。
秋田県にかほ市に入り、芭蕉も立ち寄った象潟(きさがた)近くにある宿へ午後5時ごろに投宿する。
芭蕉は、この象潟で「象潟や雨に西施が合歓の花」の句を詠んだ。
「松島は笑ふが如く、象潟は憾(うら)むが如し」と、松島と並び称される点々と島々の浮かぶ象潟の風景に芭蕉は感嘆した。
しかし、芭蕉が訪れて百数十年後に起きた大地震で海底が隆起し、今では田園風景の中に、かつて島だった所が点在する景観へと変わってしまった。

(にかほ市観光案内HPより)
案内された部屋の窓からは、夕日に染まる鳥海山がよく見える。

温泉に入った後、海の幸一杯の食べきれないほどの美味しい夕食を頂く。
夕食後、宿の外に出ると、ちょうど日本海に真っ赤に染まった夕日が沈んでゆく。

部屋に戻り、明日の鳥海山山行に備えて、午後9時過ぎには床に入り就寝する。
7月6日(水)出羽山地:鳥海山(2236m)今日はいよいよ鳥海山山行の日である。
3年前には湯の台登山口から登ったが、今回は象潟登山口から登る予定である。
【地形図】:小砂川・鳥海山(1/25000)
【コースタイム】鉾立登山口(8:25)~賽の河原(9:43/50)~御浜小屋(10:25/40)~七五三掛(11:43)~文殊岳手前(12:14)~千蛇谷分岐(12:30)~千蛇谷上部(13:25/40)~七五三掛(14:20)~御浜小屋(15:05/15)~賽の河原(15:50)~鉾立登山口(16:40)
【天気】 晴れ

前回の山行では三角点のある「七高山」までしか登れなかったので、今回はそれより7m高い最高点の「新山」まで登る予定である。
朝起きると、宿の部屋からも鳥海山が見え、今日もいい天気になりそうである。
朝食を食べ、午前7時半過ぎに出発し、車で鳥海ブルーラインを上る。
午前8時過ぎ、鉾立登山口の駐車場に着く。
広い駐車場にはすでに多くの車が駐まっている。

8:25、軽アイゼンなどを持ち、準備をして出発する。
すぐに案内看板の建つ登山口がある。

少し登ると尾根上に出て、緩やかな道を登っていく。
2,3回小さな雪渓を横切りながら高度を上げていく。

途中にはヨツバシオガマやチングルマのなどの花々が沢山咲いている。

9:43、雪渓下のお花畑が広がる賽の河原に着き、少し休憩する。

そこから200mほど登り、10:25、鳥海湖の上に建つ御浜小屋に着く。

眼下には残雪が溶け始めた鳥海湖が美しい。

15分ほど休憩し、10:40、再び尾根道を登っていく。
10分ほど登った扇子森山頂から御田ヶ原にかけて平らで気持ちのいい道が続く。
扇子森山頂近くではチングルマやイワカガミ、ハクサンイチゲなどのお花畑が広がっている。

チングルマの群落

御田ヶ原から少し下り、11:43、七五三掛の鞍部に着く。
7,80m急坂を登り分岐に着く。
分岐で左の千蛇谷へ下らなければならないのに、勘違いをしてそのまま外輪山の尾根道を登ってしまう。
文殊岳手前で間違えに気づき、登ってきた道を千蛇谷分岐まで引き返す。
50分ほど時間をロスしてしまう。
分岐から千蛇谷へ下る急坂を50mほど下り、雪渓上に下りる。
そんなに傾斜はないのでアイゼンは装着せず、ツボ足で雪渓上を下っていく。

雪渓途中で左手の尾根に上がり、しばらく登っていく。
この時点ですでに午後1時半近くになってしまう。
大物忌神社を通って新山まではまだ1時間半以上はかかりそうである。
頭上には新山山頂が高く聳えている。

分岐で地形図をよく確かめなかったため道を間違えたのが仇となり、予定よりだいぶ遅くなってしまった。
残念ながら今回はここで登頂は諦め引き返すことにする。
13:40、ややガスが出始めた中、千蛇谷の長い雪渓上を登る。

雪渓が切れた所から外輪山の尾根上まで急坂を登り返し、14:20、七五三掛へ戻ってくる。
扇子森山頂まで最後の坂を登り、15:05、鳥海湖畔の御浜小屋に着く。

池の周りの残雪はまだかなり厚い。

休憩後、賽の河原を通り、登ってきた道を下っていく。
長いだらだら坂を下り、16:40、やっと駐車場へと下り立つ。
午後5時過ぎ、車で昨日と同じ宿に戻る。
入浴、夕食後、今日の山行でかなり疲れたのか、午後9時過ぎには就寝する。
今日は、今回の山行の一番の目的であった鳥海山の新山に登る予定であったが、出発するのが遅かったのと、途中での道間違いのためまたまた新山まで辿り着けなかった。
思い込みのためすっかり勘違いをし、参加者に迷惑をかけてしまい大反省の山行であった。
今後は二度とこのようなことのないように肝に銘じたい。
明日の月山は、何としても山頂に立ちたいものである。
山遊人