2021年8月25日(水)~27日(金)
北アルプス:笠ヶ岳(2897.6m)山仲間5人と一緒に、2泊3日の日程で北アルプスの「笠ヶ岳」へ山行する。

8月25日(水)新穂高登山口~ワサビ平小屋~鏡平山荘
【コースタイム】新穂高無料駐車場(9:38)~新穂高登山口(9:50)~笠新道登山口(11:05)~ワサビ平小屋(11:18/48)~小池新道登山口(12:09)~秩父沢出合(13:07/20)~シシウドヶ原(14:38/48)~鏡池(15:40)~鏡平山荘(15:42)
【天気】 雨

今夏は8月中旬以降雨天の日が続き、なかなか山行が出来ない。
やっと今週になって天気が回復傾向を見せ始める。
25日は日本海に前線がかかり、まだ雨模様の予報が出ている。
朝6時半に集合し、東海北陸道を走って高山ICを出る。
R158を東に走り、平湯峠で左折れして新穂高への道を行く。
午前9時半前に新穂高の無料駐車場に着く。
現地は曇りがちで今にも雨が降りそうな天気である。
駐車場は、平日だというのに遠方の車も多く、8割方埋まっている。

何とか空きを見つけて駐車する。
準備をして、9:38、車道脇の道を新穂高登山口まで歩いていく。
10分ほどで登山口に着き、登山指導センターに登山届を提出する。
蒲田川に架かる橋を渡り、鏡平を目指して歩き始める。

すぐに雨が降り出してきたので、途中で雨具を装着する。
蒲田川左俣に沿った林道をゆっくりと登っていく。
長雨続きのため左俣の水量は多く、ゴウゴウと音を立てて流れている。
途中笠新道登山口を過ぎ、11:18、ワサビ平小屋に着く。

雨が降っているので、小屋の軒下を借りて昼食を摂る。
小屋の水槽に冷やしてあったトマトやキュウリがおいしい。

昼食後、さらに林道を歩いていく。
ここまでの途中、下山してくるパーティーとはすれ違うも、登ってくるパーティーはほとんどいない。
途中の沢から水が道路まで溢れ出ており、靴のまま渡るも少し水が入ってしまう。
20分ほど歩き、小池新道登山口に着き、左手の登山道に入り、岩のゴロゴロする道を登っていく。
1時間ほど登り、秩父沢出合に架かる橋を渡った所で休憩する。

秩父沢の水量も普段に比べてかなり多い。

休憩後、ナナカマドなどの樹林帯の道を登っていく。
イタドリヶ原を過ぎシシウドヶ原で少し休憩した後、右に折れて山腹の道を行く。
途中から沢沿いの道になり、最後の急坂を詰めて尾根上に出て、15:40、やっと鏡池に着く。
展望台の作られた池畔から望むと、槍ヶ岳へと続く西鎌尾根にはガスがかかっている。

15:42、池を過ぎてガスに煙る鏡平山荘に着く。
現在北アルプスの山小屋はどこも完全予約制になっており、宿泊できる人数も半分ぐらいに減らしている。
我々は早くから予約してあったので個室を取ることが出来る。
8畳ぐらいの広い清潔な部屋でゆったりと過ごすことが出来る。

最近改装したのかトイレなども清潔で気持ちがいい。
当日は50人ぐらいの宿泊者で、夕食もゆったりと食べることが出来る。
夕食後、部屋で山談義などをしてゆったりと過ごした後、午後8時過ぎには床に就く。
夜中に2回ほど屋根をたたく雨音が聞こえ、明日の天気を心配しながら就寝する。
8月26日(木)鏡平山荘~弓折乗越~大ノマ岳~秩父平~笠新道分岐~笠ヶ岳山荘~笠ヶ岳
【コースタイム】鏡平山荘(6:52)~弓折乗越(7:57/8:10)~大ノマ岳(9:45/55)~秩父平(10:50/11:15)~抜戸岳(12:50)~笠新道分岐(13:06)~抜戸岩(13:50)~笠ヶ岳山荘(14:30)
【天気】 晴れ後時々ガスかかる

朝起きて窓の外をのぞくと、雨は上がり、西鎌尾根の稜線が見えている。

午前6時ごろに朝食を食べた後、支度をして、6:52、小屋を出発する。

小屋前から振り仰げば、雲が薄れ槍穂高の稜線も徐々に見え始める。


ガスの切れ間からは槍の穂先も姿を現し始める。

池のほとりの木道の敷かれた道を行く。

弓折岳の稜線への道を100mほど登ると、眼下に鏡池のあたりが望める。

大キレットから穂高連峰にかけての稜線もはっきりと見えてくる。

途中から弓折岳の山腹道を双六岳方面を見ながらトラバース気味に登っていく。

1時間ほど登り、7:57、稜線上の弓折乗越に出る。

眼下には鏡池や鏡平山荘の赤い屋根も望める。

乗越からはいよいよ笠ヶ岳へと続く天空の稜線歩きが始まる。
少し先の弓折岳のあたりから振り返ると、ピラミダルな鷲羽岳も望まれる。

左手に北鎌尾根から続く槍の穂先がはっきりと見える。

大キレットから穂高連峰へと続く稜線も指呼の間である。

途中のハイマツの中で、雌の雷鳥が姿を現す。

少し下った大ノマ乗越から200mほど登り返し、9:45、大ノマ岳山頂に着く。
山頂からは、ハイマツ帯をかき分けながら秩父平へと下りていく。

10:50、カール状の地形が広がる秩父平に着く。

気持ちのいい岩の上で早めの昼食を食べて休憩する。

休憩後、稜線まで100mほどの急坂を登る。
登り切った稜線上を、左手に秩父岩の岩峰を見ながら進む。
仲間は、途中で稜線の道から少し外れた抜戸岳山頂に立ち寄る。
13:06、明日下りに取る笠新道の分岐を過ぎ、いくつか小ピークを越えていく。

この頃より稜線上にはガスがかかり始める。
50分ほど歩き、奇岩の抜戸岩の間を抜けていく。

先方に聳える笠ヶ岳山頂はガスの中で見ることが出来ない。
抜戸岩から岩稜の道を登り、キャンプ指定地の中を通って登っていく。
ガラガラの岩の重なる中を登って、笠ヶ岳山荘までの最後の道を登る。
14:30、やっとガスの中から現れた笠ヶ岳山荘に着く。
宿泊受付を済ませて一旦部屋に落ち着く。
今日も我々だけの個室で過ごすことが出来る。
一服した後、午後3時ごろ空身で笠ヶ岳山頂を目指す。
20分ほどジグザグの道を登り山頂神社に着く。

午後3時20分過ぎ、少し先の日本百名山の笠ヶ岳山頂に立つ。

山頂はガスが立ち込めて眺望は全くきかない。
記念撮影だけして、すぐに小屋まで下る。
定員を減らした小屋はほぼ満員状態である。
午後6時過ぎにカレーライスの夕食を頂く。
部屋に戻り歓談した後、今日も午後8時過ぎには床に就く。
午前3時ごろにトイレに起き外を覗くと、星空の下に槍穂高の稜線がクッキリと浮かんでいる。
今日の晴天が期待される。
8月27日(金)笠ヶ岳山荘~笠新道分岐~杓子平~笠新道登山口~新穂高登山口
【コースタイム】笠ヶ岳山荘(6:10)~笠新道分岐(7:32)~杓子平(8:36/57)~笠新道登山口(12:30/40)~新穂高登山口(13:41)
【天気】 快晴

午前4時半前、部屋の窓から外を覗くと、槍穂高の連峰が連なる東の空がやや赤みを増してくる。
手前にはテント場のテントの光もチラチラと輝いている。

午前5時過ぎ、槍の左肩のあたりが赤く染まり出す。

穂高連峰も薄っすらと姿を現し始める。

少し右手奥には赤みを増す空の下南アルプス連峰も墨絵のように連なって見えている。

よく見ると、甲斐駒ケ岳?の左肩には富士山の山頂も見えている。

午前5時20分過ぎ、今日最初の黄金色に輝く太陽が、槍ヶ岳右手の大喰岳の上から姿を現す。

午前5時半に朝食を食べた後準備をして、6:10、小屋を出発する。

一点の雲もない青空の下、笠ヶ岳も朝日を浴びて輝いている。

三々五々登山者が登っていくのも見える。

小屋の前に設置された双眼鏡で槍の穂先を見ると、穂先に立つ登山者の姿までよく見える。

すっかり明るくなった槍穂高連峰を見ながら下り始める。

雲海の上に聳える穂高連峰を見ながらテント場の上のガラガラ道を下る。

振り返れば端正な三角錐の形をした笠ヶ岳山頂が立派である。

南東には焼岳から乗鞍岳、御嶽山までも雲海の上に浮かんでいる。

北には薬師岳から立山連峰、その向こうには剱岳の頭も少し見えている。

稜線上ではチングルマの綿毛が朝梅雨に濡れて輝いている。

振り返れば、青空の下笠ヶ岳が雄大に聳えている。


右手に槍穂高の峰々が逆光にシルエットとなって聳えているのを見ながらの尾根歩きが続く。

天空の稜線上の道を1時間少し歩き、7:32、笠新道との分岐に出る。
分岐を少し登ると、槍ヶ岳の穂先がさらに近づいて見える。

朝発った笠ヶ岳は徐々に遠くなる。

分岐から杓子平のカール底に向けて急な坂を下っていく。

カールの中からは、抜戸岳の稜線が真っ青な空のもと聳えているのが仰ぎ見える。

カールの中を下り切り、樹林帯手前で少し休憩する。
樹林帯を少し登り返し、8:36、杓子平の標識を過ぎる。

杓子平を過ぎた稜線からは、いよいよ登山口まで1100mの笠新道の激下りが始まる。
ダケカンバやナナカマドの中の道をジグザグを切って下っていく。
途中喘ぎながら登ってくる多くの登山者とすれ違う。
午前9時を過ぎたころからは、ややガスが湧き始める。

両側に咲く花々に慰められながら、ジグザグを何度も繰り返して単調な道を下っていく。


かなり下まで下るとまたガスが切れ出し、眼前に穂高の峰々が姿を見せる。


杓子平から2時間以上下り、さらに針葉樹の樹林帯を1時間程度下る。
出発してから6時間以上かけ、12:30、ようやく左俣林道の笠新道登山口に下り立つ。

1500m近くの下りで、へとへとになった身体にムチ打ち、さらに林道を1時間近く下り、13:41、新穂高登山口に着く。
駐車場まで戻ると、金曜日のためかほとんど満車状態である。
帰りに日帰り温泉に立ち寄り、3日間の汗を流す。
温泉横にある食堂で飛騨牛などの食事をして体力の回復を図る。
食事後、東海北陸道を走り、午後7時過ぎ名古屋へと戻り、3日間の山行を無事終了する。
今回は数年悪天候で登ることが出来なかった「笠ヶ岳」へのチャレンジ山行であった。
1日目こそ雨に降られたが、2日目からは晴天に恵まれて、槍穂高連峰を横目に見ながらの楽しい稜線歩きであった。
笠ヶ岳山頂ではガスがかかり、眺望を得られなかったのは少し残念であった。
特に最終日は、素晴らしい晴天のもと、北アルプスのほとんどの峰々を見ながらの天空の稜線歩きが出来た。
去りゆく夏を惜しみながら今年最後の夏山を堪能できた山行であった。
山遊人