7月9日(木)~13日(月)日高山脈:幌尻岳(ぽろしりだけ)(2052.4m)山岳会の仲間4人で、日本百名山の一つである北海道の日高山脈の幌尻岳へ山行する。
(テント場までの登り)

(テント場から幌尻岳までの往復)

7月9日(木) 晴れ
中部国際空港へ午前7時に着き、7:50発の飛行機で新千歳空港へ飛ぶ。
名古屋では梅雨空が続いていたが、北海道は素晴らしい晴天である。
9:35、新千歳空港に着き、予約してあったレンタカーに乗り、道東道を走る。
占冠ICを出て、もう一人の仲間の待つ富良野を目指す。
昼頃、富良野駅で仲間のご夫妻と合流し、六花亭の経営する近くのレストランで昼食をとる。

目の前には噴煙をあげる十勝連峰が一望できる。

昼食後、近くのスーパーで食糧の買い出しをして、今日の宿である十勝岳の麓にある吹上温泉の「白銀荘」へ午後4時ごろに着く。

目の前には十勝連峰が迫って見える。

白銀荘は、食堂で自炊ができるリーズナブルな値段の快適な宿である。
2段ベッドの部屋に落ち着き、さっそく自慢の温泉に入る。
源泉は45℃以上あり、露天風呂は三つの風呂が段々ぬるくしてある。
汗を流してさっぱりした後、食堂で夕食を作って食べる。
食後に食べる本場のメロンがおいしい。
夕方外に出てみると、十勝連峰が夕焼けで赤く染まっている。

午後8時頃、明日からの山行に備えて早めにベッドに入り就寝する。
7月10日(金) 晴れ
【コースタイム】チロロ林道ゲート(6:40/6:50)~取水口(7:42/7:50)~二ノ沢出合(8:21/8:40)~尾根取付(9:35/9:50)~トッタの泉(11:45/12:10)~ヌカビラ岳手前(12:55/13:15)~北戸蔦別岳下テント場(14:10)
午前4時ごろに起床し、4:30、車に乗りチロロ林道の登山口を目指す。
途中のコンビニで朝食を買って食べる。
占冠町、日高町を通り、チロロ林道を走る。
6:40、チロロ林道のゲート前駐車場へ着く。
5台ほど先客の車が停まっている。
いい天気になりそうである。

準備を整え、15kgほどになるザックを担ぎ、ゲートを抜けて橋を渡る。

1時間ほど林道を歩き、北海道電力の取水施設に着く。

北戸蔦別岳への登山口から登山道へ入る。


大きなフキが多くある中を歩いて、8:21、二ノ沢出合に着く。
ここにはテントが一張りぐらいは張れそうである。

二ノ沢に沿った道を徐々に上がっていくと残雪が現れ、スノーブリッジの上を慎重に通過する。

その先で谷を離れると、山腹の急登となる。
路傍に咲くシラネアオイの花が苦しさを慰めてくれる。
2時間ほどあえぎながら急坂を登り、11:45、唯一の水場「トッタの泉」に着く。

冷たくておいしい水で喉を潤す。
この先下りて来るまで水場はないので、ここで各人5ℓずつ水を汲んで運び上げる。
5㎏の重さが加わり、一気にザックが重くなる。
重くなったザックが肩に食い込み足もなかなか上がらない。
最後の急坂を抜けると岩場が現れる。

岩場を抜け、やっと道が緩やかになると初めて眼前に幌尻岳が姿を現す。

休憩をした後、緩やかな稜線の道を北戸蔦別岳を目指す。

15:15、山頂直下から仰ぎ見ると、山頂にはすでにテントが張られているのが見える。
山頂には2張りしかテントが張れないので、我々は山頂直下の鞍部にテントを設営する。

夕食までの時間をのんびりと過ごす。

午後5時ごろ夕食を食べていると、1匹の若いエゾシカがテントの周りに現れる。

立派な雄鹿であり、近づいても逃げようとしない。
この辺りがテリトリーなのか、あたりのエサを食べた後引き上げて行く。
暫くすると日が沈み出し、幌尻岳方面が赤く染まりだす。

幾重にも山々が重なり、北海道の山の奥深さを実感する。

一日の疲れからか、皆午後6時半頃テントの中でシュラフに潜り込み就寝する。
夜中にトイレに起きテントの外に出ると、頭上には満天の星が輝いている。
天の川も良く見える。
明け方はさすがに少し寒さを感じる。
7月11日(土) 晴れ
【コースタイム】テント場(5:00)~北戸蔦別岳(5:10)~戸蔦別岳(6:34/6:47)~肩(8:35/8:40)~幌尻岳(9:28/10:07)~肩(10:55/11:05)~戸蔦別岳(11:55/12:20)~北戸蔦別岳(15:03/15:10)~テント場(15:15)
午前4時に起床し、朝食を食べ、幌尻岳へ登るための準備をする。

午前5時、少ない荷物で幌尻岳へ向けて出発する。
10分ほどで北戸蔦別岳(1912m)山頂に着く。

山頂にはテントが3つ張られている。
朝日を浴びる幌尻岳を目の前に、まずは戸蔦別岳を目指す。

ハイマツの中の歩きにくい道を行き、岩峰を越えて戸蔦別岳との鞍部へ下る。
戸蔦別岳直下の急坂を登り、6:34、戸蔦別岳(1959m)へ着く。

山頂からは花の綺麗な道を下って行く。





鞍部まで下り立つと、左手に七つ沼カールを見下ろし、その先の幌尻岳が美しい。

振り返れば戸蔦別岳の鋭鋒が青空に突き出ている。

最低鞍部から見上げるほどの急坂を登り幌尻岳の肩に出る。
肩からは緩やかな稜線の道を歩いて、9:28、幌尻岳山頂に着く。

山頂では幌尻山荘から来た人や新冠林道を歩いて登ってきた人たちが憩っている。
我々も食事をしてゆっくりと眺望を楽しむ。
10:07、名残り惜しいが下山にかかる。
肩から戸蔦別岳を越え、15:03、北戸蔦別岳へ出る。
山頂には小学生くらいの子供と父親がテントを張っている。
15:15、テント場へ下る。
少し休んで午後5時ごろ夕食を食べていると、昨日のシカがまた現れる。

すぐそばまで来て草を食んでいる。

食後に美味しいコーヒーを沸かし、幌尻岳を見ながら至福の時を過ごす。
今日も午後6時半にはシュラフに潜り込む。
夜になっても風もなく暑いくらいである。
明け方までぐっすりと眠りにつく。
7月12日(日) 晴れ
【コースタイム】テント場(6:25)~ヌカビラ岳(6:50)~トッタの泉(7:55/8:15)~谷出合(8:45/8:55)~二ノ沢出合(9:45/10:00)~取水口(10:27/10:43)~チロロ林道ゲート(11:26)
今日も朝4時に目覚め、朝食を食べた後テントを撤収する。
6:25、下山にかかる。

ヌカビラ岳を越えて下降し、7:55、トッタの泉の水場に着く。
3日ぶりの泉の水を浴びるほど飲む。
登りではあれほどしんどかったが、下りは楽である。
急坂をアッという間に下り、8:45、二ノ沢に出る。
登りで残っていたスノーブリッジは崩れてしまっている。
沢筋を下り、二ノ沢出合で休憩をする。
沢の水で顔を洗うと気持ちがいい。

後はのんびりと歩き、取水施設から林道に出て、11:26、ゲートを越えて駐車場へ戻る。
日曜日とあって、20台近くの車が停まっている。

Yさんが、橋の下の川で竿を出すと、少しの間にオショロコマが4匹ほど釣れる。(すぐにリリース)
北海道の沢はどこも魚影が濃いということである。
車でチロロ林道を走り、日高町の道の駅で昼食を食べる。
途中で今晩のおかずの買い出しをして、夕方白銀荘へ戻る。
先ずは温泉につかり、3日間の汗を温泉で流す。
夕方、テント場になっている芝生の上で十勝連峰を見ながら夕食を食べる。
荷物を整理してからベッドに入り就寝する。
7月13日(月) 曇り時々雨
いよいよ今日は名古屋へ帰る日である。
朝7時に起きてすぐ温泉に入る。
食堂で朝食を食べた後、ザックを整理して宅配便に預ける。
もう少し北海道に残るYさん夫妻と別れ、9時半に宿を出発する。
車で15分くらいにある望岳台という十勝連峰の展望台に立ち寄る。
雨が降り始め山頂は雲の中である。

富良野を過ぎて美瑛のパッチワークの丘まで行き、写真家の前田真三ゆかりの「拓真館」で作品を鑑賞する。
前田真三が美瑛の美しい風景を全国に紹介してからここが有名になったそうである。
富良野に戻りラベンダーで有名な「ファーム富田」へ立ち寄る。
月曜日ににもかかわらずすごい数の観光客でごった返している。

ラベンダー畑を見学後占冠ICから道東道に乗る。
午後1時過ぎレンタカー会社へ戻る。
空港へ送ってもらい、昼食を食べて飛行機を待つ。
予定では、15:10発であったが、整備の関係で30分以上遅れ、15:50、新千歳飛行場を飛び立つ。
途中窓から外を覘くと富士山が雲の上に浮かんで見える。
17:30、中部国際空港に着く。
午後6時過ぎ無事名古屋へ帰り着く。
今回の幌尻岳山行は、3日間とも最高の晴天に恵まれて印象に残る山行となった。
久し振りのテント山行で、重い荷物を担ぐ体力がまだまだ不足していると実感した。
北海道の山は、奥が深く、百名山といえども簡単には登れない。
2000mほどの山であるが、本土では3000級に匹敵するほどの気候で、高山植物や氷河が削ったカールが美し山であった。
最後になるが、我々の今回の山行をリードして下さったYさん、また現地で食事等で大変お世話になった奥様には感謝の気持ちで一杯である。
これからも機会があれば北海道の山々を訪れてみたい。
山遊人