fc2ブログ
岩の殿堂:錫杖岳
2010/10/29(Fri)
10月22日(金)~24日(日)

           syakujou.png

所属する会の指導者研修で、北アルプスの笠ヶ岳から連なる錫杖岳に山行する。
錫杖岳は、全山岩山と言ってもいいくらい垂直の岩壁でできた山であり、ロッククライマー達に好かれている山である。
登山道のない岩稜帯歩きの習得を目標として、2泊3日のテント山行である。
リ-ダーを含め4人の参加である。

     syakujomap.jpg


10月22日(金) 曇り

朝7時前に集合し、車で東海北陸道を走り、高山から平湯を経て、奥飛騨温泉郷の槍見温泉駐車場に9:50に着く。
今日はテントサイトまで2時間半ほどの行程であり急ぐ必要もないので駐車場で昼食を食べる。
念のためアイゼンを用意してきたが、今年はまだ雪がきておらず、今回は必要がないということで車に置いていく。
DSC00193.jpg

天気予報では晴れの予報であったが、雲が多く、山の上の方はガスで隠れている。
あたりの紅葉はもう少しというところである。
車道を横切り、槍見館の横を通り、クリヤ谷からの笠ヶ岳への登山口を左に入り、山腹を登り始める。
最初から樹林帯の中のかなりの勾配の道を高度を上げていく。
テント山行のため荷物が大きく、汗が噴出してくる。
1時間ほどで錫杖沢右岸の岩がゴロゴロする滑りやすい個所を通り、反対側に渡り返す。
登につれあたりの紅葉はだいぶ進んでおり、ガスの間から錫杖岳前衛フェースの岩場が見え隠れする。
DSC00197.jpg

急坂を登るとしばらくで左から錫杖沢が合流する出合に着く。
この出会は錫杖岳の壁を登るクライマーたちがテント場にしており、4、5張は張ることができる。
しばらく休憩して、今日テントを張ることを予定しているこの上の岩小屋へ向け錫杖沢を登る。
沢の左岸の巻き道を30分ほど登ると左手に岩小屋が見えてくる。
ここはオーバーハングした岩が覆いかぶさり、雨露をしのぐことができる絶好の場所であるが、すでに先客がテントを張っており、ここに張ることは断念する。
DSC00199.jpg 

また錫杖沢出合まで戻り、河原にテントを設営する。
DSC00207.jpg 

まだ時間も早いので、テントの中でゆっくりとしていると、いくつかのパーティーが上がってくる。
今日の夕食はきのこ鍋で、皆で鍋をつつきながらかつてリーダーが若かりしときに登った壁の話などを聞く。
風もなくあまり寒さを感じない天候で、明日の晴天を期待しつつ8時頃就寝する。
夜中にトイレのため外に出ると、ガスが晴れ星も少し出ている。


10月23日(土) 快晴

朝5時半に起床し、外に出ると明るくなりかけた空には雲もなく、絶好の登山日和が予想される。
朝食を済まし、準備をして7時半前錫杖岳に向けて出発する。
今日は軽い荷物でサブザックなので、急な谷の遡行が続き助かる。
昨日登った岩小屋までの巻き道を通り、岩小屋からは錫杖沢の中を忠実に詰めて高度を上げていく。
頭上には朝日に輝く前衛フェースがそそり立っている。
DSC00214.jpg 

途中左右に沢を分けながら、ほぼ直登する。
だんだんと沢は狭まり、残置されたロープの下がった大きな岩を登るころ水も枯れてくる。
1時間ほどで正面フェース下に出る沢を分け、左手の沢を詰める。
狭いササが茂る沢を詰めるも途中で道を間違えてしまい急な草付きの斜面が上がれない。
リーダの的確な指示で正しい道に戻り、最後の稜線直下の急登をササをかき分け9時半前南尾根上の鞍部に着く。
DSC00218.jpg 

針葉樹が生い茂り展望はきかないが、鞍部から右へ折れササをかき分けてしばらく進むと右手に穂高の連峰が見えてくる。
錫杖岳本峰まで3つほどピークを越していかねばならない。
踏み後はおおむね飛騨側についており、木の枝につかまりながら山頂を目指す。
途中一ヶ所ロープが設置されたザレた個所があり注意して通過する。
振り返ると三本槍の岩峰が垂直にそそり立っているのが見える。
DSC00222.jpg 

鞍部から50分ほどで錫杖岳の狭い山頂に到着する。
DSC00228.jpg

遮るもののない山頂からの眺めは素晴らしいの一言に尽きる。
すぐ横に岩の上にはピッケルがささっており、ザイルが垂れ下がっている。
誰かの遭難碑か何かなのだろうか?
北に続く稜線の先には笠ヶ岳の山頂が見える。DSC00224.jpg 

東北には槍ヶ岳から穂高連峰が屏風のように連なっている。
DSC00231.jpg 

槍ヶ岳から南岳
DSC00232.jpg 

北穂高岳~奥穂高岳~西穂高岳
DSC00240.jpg 

足元には烏帽子岩が小さく見える。
DSC00230.jpg

ほかに誰もいない山頂で1時間ほども展望を堪能し、11時半に下山にかかる。
来た道を戻り、鞍部を経て中央稜が正面に見えるところで休憩する。
「国連ビル」と呼ばれているらしいが、垂直な壁がそそり立っている。
DSC00248.jpg 

何組かのクライマーが壁に取り付いているのが見える。
(2人小さく写っているのがわかりますか?)
         DSC00256.jpg

リーダーも若い時には何十回も登ったそうである。
岩小屋を過ぎ、やっと巻き道に出てホッとしたのか、岩の上でツルリと滑ってお尻を打ってしまう。
午後2時前に出合のテント場に帰り着く。
夕食まで時間があるので、あたりの紅葉の景色を楽しんでいると、ヘリコプターが前衛フェースの上を何度も旋回しているのが見える。
また、遭難事故があったようである。
(後からのニュースでは、単独行の登山者が道を迷い岸壁の方へ行ってしまい、携帯電話で救助を要請したということである)
出合の大きな岩の上に30年ほど前に錫杖岳で遭難した方のプレートが設置してあり、ちょうどその会の方々が慰霊の登山に上がってみえる。
夕方ごろより雲が多くなり、明日の天候が心配である。
午後8時就寝。


10月24日(日) 曇りのち雨

朝起きると上空には雲が広がっている。
今日は本峰フェース下から烏帽子岩下部を周ってくる予定であったが、天候の崩れが予想されるため中止して下山することにする。
食事をしていると日曜日のため朝から多くのパーティーが登ってくる。
テントを撤収し、午前8時半下山にかかる。
ちょうど紅葉の盛りのブナ林の景色を楽しみながら下山する。
DSC00267.jpg 

10時に槍見温泉駐車場に下山し、近くの温泉で汗を流し、午後4時前名古屋へ無事帰着する。


今回の山行では、登山道のない谷を詰めて山頂を目指すということで、地形図をよく把握しながらのルートファインディングが大切であった。
谷の上部で違った谷を詰めてしまし、リーダーの指示で正しいルートに引き返すということもあった。
稜線に出てからは、樹林帯の中の岩稜帯であったため、木につかまりながら登ることができ、そんなに苦労することもなかった。
テント山行であったが、前回の剱岳山行で学習し極力荷物を軽くしたため、登りもそんなにえらくなかった。
錫杖岳は全く登山道のない山であり、このような山行は初めて言ってもいいくらいだったので勉強になることが多かった。
これからもこのような研修山行に参加して経験を積んでいきたい。
最後に、いろいろとご指導いただいたリーダーと同行した仲間にお礼申し上げたい。

                                 山遊人
この記事のURL | 山行 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
紅葉始まる銚子ヶ峰
2010/10/18(Mon)
 10月17日(日)

        tyoushi.png

澄んだ秋空のもと白山連峰最南端の銚子ヶ峰へ山仲間5人と山行する。
      tyousi.jpg


朝6時に集合して東海北陸道を走り、高鷲ICからR156を白鳥方面に少し戻り、桧峠を経て石徹白まで入り、更に林道を走り石徹白の大杉前駐車場へ8時過ぎに着く。
すでに10台くらい停まっておりほぼ満車状態である。
8:20準備をして大杉まで石の長い階段の続く道を登り始める。
P1030262.jpg

樹齢1800年という石徹白の大杉を右に見て尾根へ取り付く。
         P1030264.jpg 

この辺りはブナ林が続き、木漏れ日が気持ち良い。
今年の暑さのためブナの紅葉はまだは少し早いようである。
しかし、上に登るにつれ紅葉をしている木々も現れる。P1030267_20101018183231.jpg 

1時間ほど尾根道を登ると「おたけり坂」という急登が現れる。
P1030268_20101018183232.jpg 

ここを登りきると木の間越しに銚子ヶ峰が青空のもとくっきりと姿を現す。
P1030269.jpg

30分ほどで「神鳩の避難小屋」に着く。
この避難小屋はまだ新しく、中はとても清潔で、トイレやストーブなども完備されている。
P1030272.jpg 

しばらく尾根道を登ると、右手に遠く槍ヶ岳から穂高連峰にかけての稜線が黒く浮かんでいる。
また、その横には乗鞍岳や御嶽山もくっきりと望むことができる。
P1030281.jpg 

P1030283.jpg 

傾斜がきつくなり、母御石という大きな岩の横を過ぎると、山頂間近の笹原に飛び出す。
P1030274.jpg

正面に別山の大きな山容を見ながら、背丈の低い笹原をのんびりと登り、10:50銚子ヶ峰の山頂に着く。
P1030280.jpg 

山頂からは360度見渡せ、正面には一ノ峰から三ノ峰、別山へと続く稜線の道がうねっている。
P1030287.jpg 

山頂から少し下ったももすり岩というところで、展望を楽しみながらゆっくりと昼食を摂る。
2、3のパーティーが別山へ向けて登っていく。
昼食後12:40下山にかかる。
正面の笹原のうねりが逆光に輝いてきれいである。
P1030295.jpg 

下山の途中で所属する会が主催する朝日登山教室の方々が登ってくるのと出会う。
午後2時過ぎに登山口に戻り、途中の日帰り温泉に立ち寄り、汗を流して午後5時半名古屋に帰着する。


今回は、ブナの紅葉を期待しての山行であったが、残念ながら今年はまだ少し早、く最盛期には巡り会えなかった。
しかし、上の方では雑木の紅葉も見られ、絶好の秋日和のもと展望を楽しみながらの楽しいのんびりとした山行であった。

                            山遊人
この記事のURL | 山行 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
秋日和の西穂高岳
2010/10/13(Wed)
10月11日(月)

            nishiho.png

今年最後の3連休の最終日、好天が予想される中、北アルプス西穂高岳へ山仲間2人と日帰り山行する。
nishihomap.jpg
   


朝4時過ぎ名古屋を出発し、東海北陸道を走り、飛騨清見ICくから高山を通り、新穂高第2ロープウェーの駐車場に午前7時前に着く。
ロープウェー近くの駐車場はまだゲートが開いていないので、手前の未舗装の駐車場に止める。
ロープウェーの始発は8:15であったが、乗客が多く7:50ごろに臨時便が出る。
ロープウェーに乗っている間はガスが出て周りの景色は何も見えない。
7分間の乗車の後、準備をして8時に駅を出て千石尾根に付けられた登山道を歩き始める。
緩やかに登っていくと、徐々にガスが切れ上空には真っ青な青空が広がり、左手には少し色づき始めた樹林の間から西穂高がくっきりと望める。
P1030210.jpg 

振り返れば笠ヶ岳が雲の上に浮かんでいる。
P1030212.jpg

急登を登りきり、山腹を巻くと1時間で西穂山荘に出る。
P1030217.jpg

山荘からはカラフルなテント越しに、東には霞沢岳、南には焼岳や乗鞍岳がよく見える。
P1030218.jpg 

しばらく休憩をした後山荘を少し登ると森林限界を超え、振り返れば西穂山荘の赤い屋根が眼下に見える。
P1030219.jpg 

途中丸山を超え、ハイマツの緑の斜面を独標を目指す。
P1030221.jpg

独標へ行く途中ヘリコプターが西穂の山頂すぐ近くでホバリングしているので、事故でもあったのであろうか?
P1030226.jpg 

小屋から1時間ほどで丸い頭の西穂独標(2701m)へ着く。
ここはこの春に雪の中を着たばかりである。
P1030229.jpg 

山頂には大勢の登山者が憩っている。
笠ヶ岳や西穂本峰、その向こうには奥穂から前穂にかけての吊尾根が一点の雲もない秋の空に聳えている。
P1030236.jpg

独標からは岩稜帯の道になり、小さなピークを何度もアップダウンしながら高度を上げていく。
この夏、独標手前のピークから順番に12~1の番号が付けられ、1番が本峰である。
途中東の方の雲の上には南アルプス越しに富士山も頭を出している。
P1030234.jpg 

山頂かと間違うピラミッドピークを越して西穂山頂を目指す。
P1030242.jpg

1時間20分ほどかけ、最後の急登を登りつめ11時半前に狭い西穂高岳山頂に着く。
山頂からは穂高連峰の向こうにやっと槍ヶ岳の穂先も姿を現す。
P1030248.jpg 

時間も十分あるので、山頂でゆっくりと昼食を摂り、周りの眺めを堪能する。
しばらく居ると、奥穂高の方から大きな白いグライダーがすぐ目の前を通り過ぎていく。
思わず皆カメラのシャッターを切る。
P1030256.jpg 

12時過ぎ下山にかかる。
信州側の斜面は少し黄葉が始まっており、それを楽しみながらこれから西穂を目指す大勢の登山者とすれ違い下山する。
P1030258.jpg 

西穂山荘を経てロープウェー山頂駅に午後2時過ぎに到着する。
駅では連休のため大勢の観光客がロープウェーに乗るため並んでおり、40分ほど待たされやっと乗ることができる。
新穂高の日帰り温泉で汗を流し、午後5時ごろ名古屋へ向うも、連休最終日ということで高山から東海北陸道の白鳥付近まで渋滞が続き、午後9時半やっと名古屋に帰着する。 


学生時代以来の西穂高岳であったが、以前は上高地から登り、日帰りでは無理であった。
今は新穂高ロープウェーが出来たおかげで日帰りが可能になり、北アルプスの入門には手ごろな山となった。
黄葉には少し早かったが、秋空のもと楽しく気持ちの良い山行ができた。

                                   山遊人
この記事のURL | 山行 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
秋近づく編笠山
2010/10/08(Fri)
10月8日(金)

             amigasa.png

所属する会の同期会で八ヶ連峰岳最南端の編笠山へ山行する。
        amigasamap_20101009154512.jpg


参加者は16名、マイクロバスで名古屋を6時40分に出発する。
晴天が続き、雨の心配はなさそうな天候である。
中央道を走り、諏訪を通過する頃には、左手に八ヶ岳連峰がよく見える。
編笠山も長い裾野を引いて端正な形で望まれる。
10時に観音平駐車場に着く。
10台ぐらい乗用車が停まっている。
ストレッチをし、準備をして10時10分に出発する。
P1030184.jpg 

P1030187.jpg

今年は夏がいつもより暑かったため、あたりの紅葉はまだ早く、途中のカラマツ林もほとんど黄葉していない。
1時間ほどで雲海という展望地に出る。
P1030189.jpg 

ここは富士山の展望がよい所であるが、今日は残念ながらガスがかかり何も見えない。
IMGP0195.jpg 
    (以前行った時の写真です)

ここから更に登り樹林帯の中の押手川というところで道は二分する。
P1030193.jpg 

左の直登する道は徐々に急になり、岩や木の根のごろごろした歩きにくい道を高度をかせいでいく。
P1030194.jpg 

針葉樹林帯の薄暗い中、1時間半ほどの急登が続く。
P1030195.jpg 

途中の展望台からは南アルプスの展望もきかない。
IMGP0200_20101009154428.jpg  
(天気が良ければ、北岳、甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳などが写真のように連なって見えるのだが……)

午後1時半頃やっと岩がゴロゴロと重なる編笠山山頂に到着する。 
P1030196.jpg  

残念ながらガスがかかり、時々諏訪方面の下界が見える程度である。
天気が良ければ味わえる360度の大展望は次回にお預けである。

(以前に撮った写真です)
IMGP0218.jpg 
(東北には霊峰富士山が)

IMGP0205.jpg 
(北東には北アルプスが連なる)

IMGP0222.jpg 
(北には権現岳、その後ろには八ヶ岳の主峰赤岳や阿弥陀岳)

風を避けたところで昼食を摂った後、皆で記念撮影をする。
P1030198.jpg

午後2時山頂を後に青年小屋に向けて下山する。
途中にはヒカリゴケのある洞穴がある。
P1030201.jpg

大きな岩がゴロゴロする道を歩き、2時半ごろガスの中にうっすらと見える青年小屋に着く。
P1030203.jpg 

P1030204.jpg

青年小屋から編笠山を迂回する樹林帯の中の道を押手川に向かう。
途中の針葉樹林の中では緑の苔がびっしりと付いている。
P1030206.jpg 

午後2時過ぎ、行きに通った押手川に戻り、雲海を経て下山する。
あたりがうす暗くなり始めた午後4時半過ぎ観音平の駐車場に無事下山する。
遅くなったので入浴はとりやめ、一路帰路につき、午後8時半名古屋へ帰着する。


今回の山行は、6月に企画して雨で流れた山行であった。
秋の始まった山の紅葉を期待していたが、今年はどこも紅葉が遅く、木々の彩には出会えなかった。
また、雨は降らなかったが、雨前の天候でガスが出て、素晴らしい眺望もかなわなかった。
しかし、あまり登山者にも出会わなく、平日の南八ツの静かな山旅を堪能できた。
参加された皆さんももう一度ぜひ訪れて、次回は眺望を堪能していただきたいものである。

                                山遊人
この記事のURL | 山行 | CM(0) | TB(0) | ▲ top
| メイン |