いつもの仲間との今年の夏山は、北アルプスの最深部、ダイアモンドコースを経て、雲ノ平を訪れるという3泊4日のテント山行を計画する。
今年は全国的に梅雨明けが遅く、当地方もまだ梅雨明け宣言がされない中を決行する。
6時過ぎ歩き始める。雄大な薬師岳を背に、太郎山のあたりのゆったりとした草原を、周りの山々やお花畑を見ながら草原漫歩。遠くには白山も見える。池塘が点在する中、コバイケイソウやハクサンイチゲ、キンポウゲ、チングルマ、イワカガミなどの咲く木道を快適に進む。
どちらかというと、このようにゆったりとした山が好きな私には、まさに雲上の楽園散策の気分で、山々の息づき、草花の夏謳歌を大いに感じ、去りがたい気分で歩を進めた。
北ノ俣岳からは槍ヶ岳、穂高連峰も姿を現す。
急登をひと登りで、黒部五郎岳肩へ到着。ザックを置いて頂上へ。
頂上からは、北アルプスが全てが見渡せるほどの大展望。さすが百名山。
黒部五郎岳山頂からは、東に槍、穂高連峰、笠ヶ岳、北には三俣蓮華岳から明日登る鷲羽岳、水晶岳、さらに視線を西へ移せば薬師岳や剱岳、立山が一望。
夏の青空に雲がわきあがり絶好の被写体である。
上から見下ろすとカール地形が顕著である。
田中澄江の「花の百名山」によれば、チングルマが美しい山で、いちばん好きな山がこの黒部五郎岳だそうな。十分に展望を堪能して、お花畑の美しいカールへと下る。
カール底はまだ残雪が多く、冷たい雪解け水でのどをうるおし、今宵のテント場である五郎小舎へと歩を進める。2時間ほどでコバイケイソウが美しいテント場へ到着。
先客5張りほどで静かな夜が過ごせそう。
明日は天候が崩れそうとの予報。暮れ行く空には笠ヶ岳に月がかかり、赤く焼ける。
またまた疲れて早々にテントで高いびき?
約500mのつらい登りは、登るにつれて風が強くなり、身体が吹き飛ばされそう。
台風の中を歩いている感じがする。
やっとの思い出で2,924mの頂上へ。ガスが濃く視界はまったくきかず、残念。
岩苔乗越を経て、雲ノ平の一角へたどり着くも、雨が降り、テントで寝る気力もうせて、最後の夜は雲ノ平山荘へ沈殿。
小屋は割合にすいており、1枚の布団に一人寝ることができ、今までのテント生活に比べ極楽気分。
夕食に食べた石狩鍋がおいしかった。
雲ノ平の端からは薬師沢までいよいよ約450mのいやな大下りが始まる。
溶岩台地であるため、大きな岩がごろごろとしており、木の根も張り出した大変滑りやすい登山道で、歩きにくい。
皆が2、3度はしりもちをつきながら、2時間ほどで薬師沢出会いへと辿りつく。
ここは黒部の源流と薬師沢とが出会い、清冽な流れが気持ちよい。
梯子を上り、赤いつり橋を対岸へと渡る。ここは雨で増水していると渡ることが出来なくなる。
ニッコウキスゲの咲くカベッケガ原の木道を辿り、、足元のキヌガサソウを愛でながら、左俣を渡り、太郎平の基部からひと登りで、やっと太郎平小屋に戻ることができた。
この4日間に辿った山々を振り返り、よく歩いたものだと感慨にふける。
あとは来た道を3時間ほどで下り、午後4時無事登山口の折立に帰り着く。
今回の山行は、思ったより天候には恵まれ、一応全行程を計画通り踏破することができ、メンバーも全員元気で無事下山できたことが何よりである。
私にとって38年振りに訪れた雲ノ平、夏のお花畑の最盛期に出会えたことなどとても印象深い山行であった。
感心したことは、昔に比べて山が大変きれいになったことである。木道などが整備され、登山道以外が踏み荒らされることもなく、トイレなども大変清潔になった。
やっと日本にも自然保護の意識が根付いてきたのであろうか。
このかけがえのない美しい山々がいつまでも残され、これからも訪れる多くの人々に感動を与えていって欲しいものである。
10分ほどでりっぱな避難小屋のある展望台に出て、そこでランチタイム。少しガスが切れて木曾谷の方が展望できたが、残念ながら御岳や中央アルプスは雲の中。
帰りは、摩利支天の展望台を経て下山する。
往復4、5時間の手ごろな山であった。
Author:山遊人
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